【映画レビュー:アトミック・ブロンド】東西ドイツが舞台のスパイ・アクション

今回は、映画『アトミック・ブロンド』の感想レビューです。

冷戦下のドイツを舞台にしたスパイ・アクション。

誰も信用できない状況下でのスリルと、騙し騙されるストーリーが見どころでした。

登場人物の関係や利害はやや複雑で、漠然と見ているだけだと置いていかれると思います。

前半はネタバレ無しのレビューなので、観る前の参考にしていただけます。

後半はネタバレ有りの感想・考察なので、まだ観ていない方はご注意ください。

映画情報
  • おすすめ度:6/10
  • 原題:『Aromic Blonde』
  • 主演:シャーリーズ・セロン
  • ジャンル:アクション
  • 公開:2017年
  • 長さ:115分(1時間55分)

序盤のあらすじ

ロレーン・ブロートンはイギリスの秘密情報機関MI6に所属するスパイ。

ドイツにて同胞であるガスコインが殺され、重要なリストが奪われる事件が発生しました。

そのリストには活動中のスパイが記されており、漏れれば冷戦の長期化は必至。

ロレーンはドイツに潜入し、ベルリンに駐在するMI6の諜報員デヴィッド・パーシヴァルとともにリストを探します。

ネタバレなしの感想

本作『アトミック・ブロンド』は、女性を主人公とするスパイ・アクション映画。

格闘を始めとするアクションや、スパイ映画にお決まりの騙し騙される展開をしっかり押さえています。

まずは感想を一言でいうと、ストーリーや登場人物の関係、利害を理解するのが難しいです。

スパイ・アクションというと『ミッション・インポッシブル』(MI)シリーズが有名ですが、本作はMIのように漠然と見ているだけでは置いていかれました。

次々と出てくる人物について、

「どこの所属なのか」
「何が狙いなのか」

をしっかり捕らえていかないと、何がなんだか分からなくなります。

まず登場人物の所属先(MI6など)がいくつかあって、さらにそれらの諜報員が互いに騙したり騙されたりするわけです。

僕は映画を適宜見返したりノートを取ったりして、一応は全体像が分かった気がします。
(理解した内容についてはレビュー後半のネタバレありの部分でまとめたいと思います)

本作はアクションよりも、この込み入ったストーリーがメインになると思います。

アクションは多くが普通の殴り合いなので、この手の映画の中では地味な方です。

以上をまとめると本作は、MIのように簡単にストーリーが理解できて、ド派手で爽快なアクションが楽しめる作品というわけではありません。

僕の場合はストーリーに深入りして初めて良さが分かってきたので、かなり骨の折れる映画だなと思いました。

 

ビジュアル面では、シャーリーズ・セロン演じる主人公ロレーンのルックスが良かったです。

たぶんウィッグだと思うのですが、透き通ったブロンドがキレイでスタイルも素晴らしい。

スパイにしては美しすぎますが、映画だからよしとします。

ネタバレありの感想・考察

注意

以下の感想・考察はネタバレを含みます。ご注意ください。

既に観た方向けの内容です。

結局どういうストーリーだったのか

上に書いたとおり、本作のストーリーはかなりむずかしく感じました。

まずは、ロレーンが何者であったかに注目して、僕なりに理解した内容を書きたいと思います。

あくまで個人的な理解なので、間違っている可能性もあります。

 

結論から書くと、ロレーンはCIA(アメリカの情報機関)に所属する3重スパイでした。

本作のストーリーの多くは、MI6(イギリスの情報機関)の諜報員としてのロレーンの報告にもとづく回想シーンです。

なので視聴者としては、最初はロレーンがMI6の人間だと思って観始めます。

話が少し進むと、サッチェルという名前が出てきます。

サッチェルはIM6の中に紛れ込んだKGB(ソ連の情報機関)のスパイ、つまり2重スパイです。今のところ正体は不明。

「サッチェルは誰なのか?」はひとまず謎のままでストーリーは進んでいきます。

中盤、スパイのリストを手に入れたパーシヴァルはそれを読み、ロレーン=サッチェルだと判明。
(しかし、まだ誰にも言わないので視聴者にも分からない)

終盤、ロレーンはパーシヴァルを殺害し、リストを強奪。

以上が、ドイツで起きたことの本当にざっくりとした大枠です。

 

MI6の取り調べでロレーンはパーシヴァルを殺した責任を問われることになります。なぜなら、パーシヴァルはMI6の諜報員であり、同胞だからです。

しかし、ロレーンはパーシヴァル=サッチェルだという嘘をでっち上げる証拠を用意しており、正当化することに成功。

これにより、ロレーンはサッチェルの存在をパーシヴァルになすりつけ、「自分はサッチェルじゃないし、サッチェルはもう死んだ」ことにします。

 

後日、ロレーンはKGBのパーティー的な会に参加します。

彼女はサッチェルと呼ばれますがそれは当然で、ロレーンが本当のサッチェルだからです。

KGBとしては、サッチェルがうまいことMI6を出し抜いてリストを持ってきたと思いました。

そこで彼女はリストを渡した後殺されそうになるも、返り討ちにして逃走。

飛行機に乗り込むと、そこにいたのは事情聴取に居合わせたCIAの関係者。彼の手にはリストである時計が握られていました。

こうしてリストは最終的にCIAの手に渡り、ロレーンが実はCIAの3重スパイだったことが明らかになります。

 

以上が、ストーリーのおおまかな内容と、ロレーンが何者かについて僕が理解した内容になります。

出てくる組織

ストーリーを理解しやすくするために、作中に出てくる組織をざっとまとめます。

MI6

イギリスの情報機関。

取り調べはMI6によるもので、そこでのロレーンはもちろんMI6のメンバーとして振る舞っている。

MI6に所属するメンバーは、

  • ロレーン・ブロートン(本当はCIA)
  • デヴィッド・パーシヴァル
  • ガスコイン
  • エリック・グレイ

 

KGB

ソ連の情報機関。

出番は多くないが重要。

KGBに所属するのは、

  • サッチェル(=ロレーン。本当はCIA)
  • バクティン
  • ブレモヴィッチ
  • ロレーンに襲いかかってきた連中

 

CIA

アメリカの情報機関。

冷戦下においてアメリカとイギリスは同盟国なので、MI6の仲間。

CIA所属として出てくるのは、ロレーンを除けば、エメット・カーツフェルド(最後に飛行機で待ってた男)のみ。

東ドイツ保安省

東ドイツは、冷戦下ではソ連の支配下。

逆に西ドイツはアメリカやイギリスの支配下。

スパイグラスは東ドイツ保安省の所属という設定になっている。

フランスの情報機関

デルフィーヌ(写真を撮る女)はフランスの情報機関の新人(?)という設定。

登場人物

組織についてまとめたところで、それぞれの登場人物についても簡単にまとめてみます。

3重スパイとしてのロレーンについては、既に書いたので省略。

 

デヴィッド・パーシヴァル
MI6所属の、ベルリン担当。
2重スパイというわけではないが、KGBに接触していた。
目的はKGBにロレーンを殺してもらうこと。
なぜそうするかというと、ロレーンが死んで自分がリストをMI6に持って帰ればヒーローになれるから。
途中でデルフィーヌを殺害。
バクティンからリストを奪うが、最終的にロレーンに殺される。

バクティン
KGB所属。
冒頭のシーンでガスコインを殺し、腕時計のリストを奪った男。
後にパーシヴァルを尾行するも、返り討ちにあって殺され、リストを奪われる。

ガスコイン
MI6所属。
スパイグラスからリストを受け取っていたが、冒頭のシーンでバクティンに殺される。
最初しか出てこないキャラクター。

スパイグラス
東ドイツ保安省所属。
眼鏡のおじさん。
(どういうわけか)もともとリストを持っていて、ガスコインに渡す。
同時に、リストの内容を暗記しているので、言わば歩くリストでもある。
ロレーンによって西ドイツに逃してもらう途中、KGBに追われ死亡。

デルフィーヌ
フランスの諜報員。
カメラで写真を撮ったり、ロレーンと寝たりした女。
パーシヴァルとKGBが接触しているところを写真に収め、ロレーンに託す。
最終的に、パーシヴァルに絞め殺される。

ブレモヴィッチ
KGB所属。
序盤でスケートボードで若者を殴ったり、ラジオを壊したりした男。
最終盤、ロレーンから(偽の)リストを受け取った後に彼女を殺そうとするも、返り討ちにあい死亡。

エリック・グレイ
MI6所属。
(MI6の諜報員としての)ロレーンの上司。
取り調べの際、ロレーンから見て左側に座っていた男。

エメット・カーツフェルド
CIA所属。
取り調べの際、ロレーンから見て右側に座っていた男。
ロレーンに「席を外してくれ」「クソ野郎」と言われる(後にそれは演技だと判明)。
ベルリンにもちょっと現れる。
最後に飛行機の中でロレーンを待ち、手にはリストを握っていた。

まとめ

以上、本作のおおまかなストーリー、組織、登場人物についてまとめてみました。

この辺りを押さえれば、ストーリーの全体像は掴めるのではないかなと思います。

一方、僕自身も細かい部分はどうしても曖昧なままです。

思うに、話をややこしくしているのはパーシヴァルではないかと思います。

僕の理解が正しければ、彼は2重スパイではないにも関わらず、MI6における名誉のためにKGBと接触していました。

3重スパイについては、そこまで複雑ではないと思います。というのも、「実はCIA」は何の伏線もないオチだからです。

内容がもう少しわかりやすくて、ロレーン=CIAに至る伏線や納得のいく説明があれば、もっと面白いラストになっていたと思います。