【映画レビュー:ミッション:8ミニッツ】タイムループの中で列車爆破テロの犯人を探す

今回は、映画『ミッション:8ミニッツ』の感想レビューです。

典型的なタイムループをベースにした傑作。

前半はネタバレ無しのレビューなので、観る前の参考にしていただけます。

後半はネタバレ有りの感想・考察なので、まだ観ていない方はご注意ください。

映画情報
  • おすすめ度:8/10
  • 原題:『Source Code』
  • 主演: ジェイク・ジレンホール
  • 監督: ダンカン・ジョーンズ
  • ジャンル:サスペンス
  • 公開:2011年
  • 長さ:93分(1時間33分)

あらすじ

空軍パイロットであるスティーブンスが目を覚ますと、見覚えのない列車の中にいました。

目の前には見知らぬ女性、そしてポケットからはやはり見知らぬ人物の身分証。

混乱するうちに列車は爆発し、スティーブンスを含む乗客全員が死んでしまいます。

スティーブンスが再び意識を取り戻すと、そこは暗くて狭いカプセルの中でした。

モニターの画面には、グッドウィルと名乗る女性が。

スティーブンスは列車の爆破テロ犯人を見つめるために、プログラムの中で他人の記憶を追体験しているのでした。

良かったところ

本作の感想を一言でいうと、非常に良く出来たタイムループものでした。

タイムループは面白いアイデアですが、それを採用した映画が必ずしも面白いとは限りません。

しかし、本作『ミッション:8ミニッツ』は確実に面白い方に入ります。

まずは、ネタバレなしで良かったところを書きたいと思います。

タイムループの設定が生きている

まず何よりも、タイムループを使ったストーリーそのものが面白いです。

あらすじのとおり、列車を爆破させた犯人を見つけるという目的で話は進みます。

詳しくは実際に映画を観てほしいのですが、タイムループの土台はSFです。

ただSF感は全面に出てきておらず、推理小説のような雰囲気を感じました。

ループの仕方については、トム・クルーズ主演の『オール・ユー・ニード・イズ・キル』とまんま同じです。

こちらも観たことがある方は絶対に思い出すでしょう。

雰囲気はだいぶ違いますが、死んではやり直し…、また死んではやり直しを繰り返す点では似ています。

謎について考えるのが面白い

最初は謎だらけですが、タイムループを重ねるごとに一つずつ真実が分かってきます。

まずは次の2つが大きな疑問になると思います。

「爆破の犯人は誰なのか?」
「それにしても、どうしてスティーブンスが犯人を探すのか?」

さらに、ラストシーンも考察しがいがあって観た後も色々考えたくなる映画です。

オチの解釈については、後半に用意したネタバレありの部分で書きたいと思います。

ムダがない

小さなことですが個人的に気に入ったのは、主人公が状況を早く飲み込んだことでした。

タイムループ作品においては、ループの存在を登場人物が理解するまでに時間がかかって、観ていてもどかしく感じることがあります。

ところが本作の主人公スティーブンスはグッドウィルの支持もあって1、2周で状況をサクッと理解。

僕はサクサク進む映画が好きなので、ここは評価ポイントでした。

さらに、この映画の長さは93分と短めです。

全体的にムダが削ぎ落とされて、必要十分にまとまっていると思います。

良くなかったところ

正直これと言って不満な点はありません。

単純に面白いですし、ダラダラしてもいませんので。

強いて言うならば、列車の中が主な舞台になるので地味ではあります。

上に挙げた『オール・ユー・ニード・イズ・キル』のような映像美はありません。

ただ、逆にそれも本作の良いところなのかなとも思います。

上で「推理小説みたいな感じ」と書きましたが、まさにそのとおりです。

狭くて不便な場所だからこそ作り出せる緊張感や切迫感がありました。

 

そういえば、この映画を「どんでん返し」系として紹介しているのを観たことがあります。

しかし実際に観てみると、そうでもないような…。

「現実かと思ったものが実はプログラム上の追体験だった」という部分は認識がぐらつく部分ですが、これはあらすじに含めるレベルの設定ですし。

「どんでん返し」の定義にもよりますが、少なくとも、観る側が終盤までに立てた予想が最後でひっくり返されるわけではないと思います。

ネタバレなしのまとめ

以上、ネタバレしない範囲での感想レビューでした。

まとめると、本作『ミッション:8ミニッツ』はタイムループの傑作です。

特別難しい設定もないですし、タイムループの面白みが誰でも味わえると思います。

確実におすすめです。

ネタバレありの感想・考察

注意

以下の感想・考察はネタバレを含みます。ご注意ください。

観た方でないと意味がわからないと思います。

ラストシーンの解釈

最後まで観て「おや」と思うのは、最後の8分間とその後の展開でしょう。

結論から言うと、追体験の中で爆破を止めたことで別な時間軸(平行世界)が生まれたのだと思います。

まず確認すると、最後の方の流れは次のとおりでした。

  1. グッドウィルの協力で、スティーブンスは最後にもう一度追体験する
  2. その8分の中で列車の爆破自体を止めることに成功
  3. 8分で追体験が終わるかと思いきや、その後もスティーブンスの意識はその中で続く
  4. 追体験の中でスティーブンスが送ったメールが、列車の爆破が起こる前のグッドウィルに届くシーンが入る

前提として、スティーブンスが体験していたのはプログラムに過ぎません。

それは過去を追体験するだけで、その中で何をしようとも実際の過去を変えることは不可能です。

にも関わらず、スティーブンスが爆破を止め、その最中のメールをグッドウィルが受け取るシーンが最後に登場。

これは一見すると矛盾にも思えますが、いわゆる別な時間軸が生まれたと考えれば説明が付きます。

 

もともとの時間軸で起きたことは次のとおり。

  • 列車の爆発は起こり、乗客は全員死亡
  • スティーブンスはそれを追体験する
  • その中で見事犯人を見つけ、それ以降のテロは未然に防げた

 

一方、スティーブンスが最後の8分で作り出した時間軸は次のとおり。

  • 列車の爆発そのものを防ぎ、犯人も捕まえた
  • 結果、乗客全員が助かった
  • 列車の中で送ったメールが、何も知らないグッドウィルに届いた
  • 8分後もスティーブンスの時間は進み続けた

 

列車が爆発する前を分岐点として、上の2つに分裂したということです。

納得できる説明があるかというと微妙ですが、とてもいい雰囲気で終わったので僕は満足です。

第2の時間軸でコメディアンが乗客を笑わせるシーンはとても気に入りました。

コメディアンが笑わせた乗客たちは、その後も生き続けることになります。

 

SF設定についての考察

あらすじにも書いたとおり、スティーブンスが(意識的に)タイムループするのはSF的な設定によるものです。

僕の理解では、

  • 人が死んでも記憶の残像が生まれる
    (電球が消えてもまだ光って見えるのと同じ感じ)
  • 相性が合う人間は、その残像を元に記憶を追体験できる
  • スティーブンスは、死んだ乗客の1人ショーンと相性が良かった
  • 残像として残る記憶は8分しか持たない

ということらしいです。

あくまでSFなので、そういうもの、として受け取る必要があります。

僕の感覚では、本作のタイムループは説得力のある方だと思いました。

超能力とか、全く原因が分からないというわけじゃないですからね。

ラトリッジ博士が開発したであろうプログラムがタイムループを実現しています。

細かいことを言うと、本作のタイムループは厳密にはタイムループではありません。

あくまでスティーブンズの頭の中で何度も追体験しているだけだからです。

 

原題の意味はなんだったのか

本作の邦題(日本用のタイトル)は『ミッション:8ミニッツ』です。

しかし、原題は『Source Code』であり邦題とは全く違っています。

個人的には、邦題は内容を端的に表していて悪くないと思います。

心残りは、原題の意味がうまく汲み取れなかったことです。

「Source Code」とは、プログラムのテキストこと。

僕は学生自体にプログラミングをしていたので、この言葉には馴染みがあります。

ただSource Codeという言葉が本作とどう関係してくるのか、僕には分かりませんでした。そこが残念。

 

鏡のオブジェ

映画のラストで、鏡のように磨き上げられた銀色のオブジェが出てきます。とても印象的でした。

調べてみたところ、これは映画のセットではないんですね。

アメリカ、イリノイ州にミレニアム・パークという公園がありまして、そこに実際に存在する「クラウド・ゲート」というオブジェらしいです。

一度生で見てみたいと思いました。
(たぶん行くことはないと思いますが…)

おわり

以上、映画『ミッション:8ミニッツ』の感想レビューでした。

再びまとめると、タイムループ作品の中でもかなりよく出来た映画です。

派手な映像こそありませんが、推理サスペンスとしてのいい雰囲気が出ています。

タイムループというトピック、あるいはサスペンスが好きな方には自信を持っておすすめできます。