【映画レビュー:12モンキーズ】世界を滅ぼしたウイルスの拡散を止めるべく、囚人を過去に送り込む

今回は、映画『12モンキーズ』の感想レビューです。

面白いと同時に、非常に難解なSFサスペンスでした。

前半はネタバレ無しのレビューなので、観る前の参考にしていただけます。

後半はネタバレ有りの感想・考察なので、まだ観ていない方はご注意ください。

映画情報
  • おすすめ度:7/10
  • 原題:『Twelve Monkeys』
  • 主演:ブルース・ウィリス
  • 監督: テリー・ギリアム
  • ジャンル:サスペンス
  • 公開:1995年
  • 長さ:129分(2時間9分)

あらすじ

1997年に拡散したウイルスによって50億の人々が死滅。

残った人々はウイルスから逃れて、地下で生活していました。

ある日囚人ジェームズ・コールは、恩赦と引き換えに重要な任務を受けることに。

任務の内容は、過去へタイムスリップし拡散前のウイルスのサンプルを持ち帰ることでした。

手がかりは「12モンキーズ」という謎のメッセージのみ。

過去へ向かったジェームズは「12モンキーズ」だけを頼りにウイルスを探します。

良かったところ

本作はタイムスリップをベースにしたSFサスペンスです。

僕はSFやサスペンスが好きということもあり、映画を観る前からあらすじや設定に興味を惹かれました。

現在の舞台は、典型的なディストピア。

ウイルスで人類のほとんどが死に、残りは地下へ…というよく見る設定です。

過去に人を送り込んでなんとかしようとするのも珍しくありません。

ただユニークなのは、過去に行くのが英雄でも何でもなくただの囚人だという点です。

「果たしてそんなので上手くいくのか…」と思いつつ、観てみることにしました。

 

作中では、現実と妄想が1つのテーマになっていると思います。

未来から来たと言い張るジェームズは、案の定サイコパス扱いされて病院に入るハメに。

まぁジェームズは凶暴な囚人で実際にサイコパス気味なのですが…。

次第にジェームズ自身も、自分の認識やミッションが現実なのか妄想なのか分からなくなってきます。

これはジェームズだけでなく、視聴者である僕も同様。

精神科医や精神病棟が登場することもあって、

「この映画は精神病患者の夢落ち系の作品なのではないか」

とも予想しました。
(ネタバレではありません)

ストーリーは全て主人公の妄想だった、という作品はたまにありますよね。

このように、現実と妄想について仮説を立てながら観ていくのが面白かったです。

 

肝心のストーリーについてですが、個人的には満足です。

具体的な筋書きはネタバレになるのでここには書きませんが、あらすじ~オチまでは上手くつながっていたと思います。

ところで、本作を「どんでん返し」系の作品としているレビューを見かけました。

個人的にはそうは思いません。

確かに騙された部分はありましたが、それで「どんでん返し」と呼ぶにはちょっと弱いかなと。

ユージュアル・サスペクツ』のような作品と同じくくりで考えると、肩透かしを食らうと思います。

良くなかったところ

本作の内容は非常に難解です。

これは必ずしも悪いことではないのですが、「良くなかったところ」に書くこととします。

一言でいうと、本作は視聴者に解釈を委ねる部分が多い作品だと思いました。

オチもそうなのですが、とにかくハッキリしない部分が多いです。

僕自身、一度観ただけでは疑問な点・あやふやな点がいくつも残りました。

その後他の方々のレビューを拝見して、ようやく全体像が掴めたという感じです。

(詳しくは、後半のネタバレ有りの部分で書きます)

それも僕の解釈でしかないわけで、やはり明確な答えがない映画だと思います。

 

そういうわけで、分かりやすくハッキリした筋書きを求める場合、本作は向かないと思いました。

さらっと眺めているだけだと、雰囲気だけ楽しんで終わり…ということになりかねません。

僕はかなり食い入って観ていたのですが、それでもなお難しく感じました。

繰り返すと、難解であることは良いことでも悪いことでもありません。

ただ観る前にその点だけは認識しておいたほうが良いと思います。

ネタバレなしのまとめ

以上、ネタバレにならない範囲での感想でした。

まとめると、視聴者に解釈を委ねる部分が多い、複雑なSFサスペンスです。

難しいので万人にはおすすめ出来ません。

一方、考察する部分が多ければ多いほど良いという方にはぴったりな作品です。

ネタバレありの感想・考察

注意

以下の感想・考察はネタバレを含みます。ご注意ください。

観た方でないと何を言っているのか分からないと思います。

結局どうなったのか?

確認すると、ジェームズが過去に送られたのはウイルスを拡散前に持ち帰ることでした。

では、物語はどういう結末を迎えたのでしょうか。

僕の理解では、ウイルスの拡散は止められました

ラストシーンについて次のことが真実として言えると思います。

  • 赤毛の男が持っているのは正真正銘のウイルス
  • その隣に座っていたのは、ジェームズを送り出した未来の科学者

 

まず赤毛の男について。

彼は細菌学者(ブラッド・ピット演じるジェフリーの父)の助手です。

ジェフリーは12モンキーズという集団のリーダー。

助手は1時間28分あたりで出てきますが、実験室用の帽子を被っているので分かりにくいです。

彼も12モンキーズの一員であり、ウイルスをばら撒くために空港に現れました。

ジェームズは助手を止めようとしますが、その前に警官に撃たれて死亡。

そのため、ウイルスを持った助手は無事飛行機に乗り込みます。

 

飛行機内で助手の隣りに座っていたのは、女性の科学者

ジェームズをタイムスリップさせた科学者集団の1人です。

これは外見から判断できます。

ラストシーンでの彼女の行動は、次の2つ。

  1. 助手に飲み物を渡す
  2. 自らを「救済保険業」者だという

 

彼女は本来未来の人間ですが、自らタイムスリップしてきたのだと考えられます。

目的はもちろん、拡散前のウイルスを回収し、未来に持ち帰ること。

助手に渡した飲み物にはおそらく睡眠薬か何かが入っているのでしょう。

女性科学者は、彼が眠ったあとでウイルスを回収するつもりです。

唐突に自分のことを「救済保険業」者といったのは、ウイルスを回収し50億人が死ぬのを救う、という意味だと思います。

実際描かれはしませんが、女性科学者はこの後ウイルスを回収するはずです。

そして、当初の目的どおり拡散を回避。

さらに未来に持ち帰った後は、ワクチンを作ることにも成功…という流れでしょう。

 

ここでしっくり来たのは、科学者自身がタイムスリップしてきた点です。

あらすじの時点で、

「囚人なんかを過去に送り込んで、問題はそう上手く解決するだろうか?」

と疑問に思っていました。

結末を見る限り、科学者らは囚人だけで問題を解決しようとしていたわけではありません。

囚人は情報を集めるただの道具でしかなかったのでしょう。

 

どこまで妄想だったのか

上に書いたとおり、本作は現実と妄想がテーマになっています。

結果として、ジェームズの認識はほとんど現実だったと思います。

例えば、次のことは全て現実です。

  • ウイルスで50億人死ぬ時間軸があったこと
  • それを避けるべくジェームズが未来からタイムスリップしたこと
  • 科学者らの存在
  • ジェームズが現在と過去を何度か行き来したこと
  • ホームレスになった他の囚人の存在

妄想といえるのは、ジェームズが聞いた幻聴くらいです。

例えば、ホームレスの声がしたと思ってトイレのドアを開けたら、別人が入っていたシーンがありました。

おわり

以上、映画『12モンキーズ』の感想レビューでした。

ここまで書いて再び思ったのですが、頭がパンクしそうなほど難しい映画です。

その難しさが、良くも悪くも最大の特徴でした。

サスペンスで積極的に考察するのが好きな方ならきっと楽しめると思います。