【映画レビュー:コンタクト】宇宙人との接触を夢見る女性天文学者を描く傑作SF

今回は、映画『コンタクト』の感想レビューです。

数ある宇宙SFの中でも最も印象に残る作品の1つでした。壮大なSF要素以外にも、真理を追い求める情熱、科学と宗教というテーマを盛り込んだ展開も見応えがあります。

ノーマークでとりあえず観てみたのですが、期待以上の出来でとても満足のいく作品でした。

前半はネタバレ無しのレビューなので、観る前の参考にしていただけます。

後半はネタバレ有りの感想・考察なので、まだ観ていない方はご注意ください。

映画情報
  • おすすめ度:9/10
  • 原題:『Contact』
  • 主演:ジョディ・フォスター
  • ジャンル:SF
  • 公開:1997年
  • 長さ:149分(2時間29分)

あらすじ

主人公エリー・アロウェイは幼い頃から科学に興味を持ち、特に無線通信に情熱を注いでいました。

両親との死別を経て、現在エリーは地球外生命体との接触を図る天文学者として研究に没頭する毎日。

しかしある日、成果が出ないことを理由に予算がカットされ、プロジェクトが終わってしまいます。

そこでエリーは研究に出資してくれる別な組織を探し、計画を再スタートすることに。

しかし再び成果が出ない状況が4年も続き、その頃にはエリーは変人扱いされていました。

またしても打ち切りかと思われたある日、エリーは宇宙からと思われる信号を遂にキャッチ。

そこから彼女の宇宙への夢が動き始めるのでした。

ネタバレなしの感想

宇宙からの信号を解析して、いわゆる宇宙人が存在する証拠を掴む。

本作『コンタクト』のベースとなる設定はこのとおり非常にベタです。

しかし実際に観てみたところ、宇宙人が存在する証拠を掴んでうんぬんかんぬん…というテーマでこれほどまでストレートに描かれた作品は観たことがありませんでした。

展開がうまく行き過ぎるところは正直あるのですが、それが気にならないくらい全体としては面白い映画です。

 

実際のところ、SFというのは一応のジャンルであり、本作の本質的な面白さは実は別なところにあると思います。

主人公であるエリー・アロウェイは情熱に溢れた女性で、夢に向かってひたむきに突き進む姿は見ていて気持ちいいものがあります。

また、後述するようにSFとは直接関係ないテーマも示唆に富んでいて興味深いです。

具体的なストーリーについての感想はネタバレを避けるとほとんど書けません。

記事の後半でネタバレを含めつつ感想・考察をしていきたいと思います。

 

この記事を書いているのは2019年8月です。

今から見ると本作のSFとしての演出は特別目新しさはありません。

しかし、本作の公開が1997年であることを考えると、当時はかなりの衝撃作だったのではと予想します。

これも詳しくは書けないのですが、終盤のクライマックスを20年前の人々はどのような気持ちで観たのか。そういうところを想像するのも面白かったポイントの1つです。

 

上でも触れたとおり、本作は宇宙SFであると同時に科学と宗教の関係性を描いた興味深い作品でもあります。

ざっくり言うと、主人公であるエリーが無神論者(どの宗教も信仰せず、神の存在を信じない人)であることが障害となります。

ここで面白いのが、無神論者とそうでない人で見方が変わるであろうということ。

例えば僕はエリーと同じく無神論者(普段は別にそんなこと意識しませんが)なので、とあるシーンではエリーに同情せざるを得ませんでした。

一方、本国アメリカだと僕とは逆の反応をした人が多かったでしょう。そして、こういった宗教的な側面は日本人が感じる以上にインパクトがあったはずです。

 

宗教に関係して、科学至上主義に懐疑的なジェスという男性が出てくるのですが、彼のセリフにハッとするものがありました。

引用します。

我々人間は科学技術の力によって幸福になれるのかどうか

生活は便利になった

なのにむなしさは募る

今ほど人間が孤独だった時代はありません

断片的にですが、映画『ファイトクラブ』を思い出しました。このメッセージに通ずるものがあります

ファイトクラブはモノ中心の価値観・生活を完膚なきまでにぶった切る名作です。上の引用文に後にもファイトクラブに通じるセリフがあります。

消費で心を満たそうとする現代人というのは個人的に興味深いテーマでして、少ないシーンながら楽しめました。そういう意味でも、本作は単なるSF映画ではないなと感じます。

ちなみにファイトクラブは本当に面白いので、まだ観ていない方はぜひあわせてご覧ください。

【映画レビュー:ファイトクラブ】現代人の内面をえぐりだす超傑作

 

割と小ネタなのですが、本作では舞台の1つとしてなんと北海道が出てきます。
(実際に北海道で撮影したわけではないのですが)

僕は道民なのでちょっと嬉しい気持ちがしました。

あと出てくる日本人が大体無表情でロボットなのも、「アメリカ人からはこう見えるのかな?」と考えるとクスッときます。

 

とりあえずネタバレを含まない総評としては、非常に面白い映画だと思います。

個人的なおすすめ度は10段階中9でして、自信を持っておすすめ出来る作品です。

2時間半くらいあって長いので、時間があるときにでもぜひご覧ください。

ネタバレありの感想・考察

注意

以下の感想・考察はネタバレを含みます。ご注意ください。

既に観た方向けの内容です。

エリーはヴェガに行けたのか

本作のラストとなる重要なポイントについて。

言うまでもないことだとは思うのですが、一応僕なりの理解を書いておきます。

エリーは結局ヴェガに行けたのかどうか。これについては、実際に行けたのだと僕は思います。

 

暗号されたテキストをもとに作られた宇宙空間輸送装置によって、エリーは信号の発信元であるヴェガへと向かいます。

そこで父の姿をしたヴェガ人と会い地球外生命体の存在をその目で確認することに成功。

相対性理論によると、エリーがヴェガに行って帰ってくるまでに地球の時間にして何十年もかかると予想されていました。

しかしエリーがもとの発射場に戻ると、不思議なことに地球では全く時間が経っていません。外部からは輸送に失敗したように見えただけです。

このため、エリーが体験したことは妄想ではないかとしてプロジェクトは表向き失敗とされてしまいます。

ところが1つだけエリーの体験を支持する証拠が見つかりました。

エリーが装着していたレコーダーはなんと18時間分の映像を記録していたのです。

なぜこれが公にされないかはちょっと疑問だったのですが、エリーが成功したということでハッピーエンドかなと思います。

ヴェガ人の目的は何だったのか

そういうわけで、エリーは確かにヴェガ人に会っています。

それでも、ヴェガ人がどうして地球にシグナルを送り、輸送装置の作り方を教えたのかは最後まで謎のままです。

そしてエリーが得た結論は「宇宙に比べたら私たち人間はあまりにもちっぽけ」という悟りだけ…というのが僕の理解です。

宇宙SFという点では、ヴェガ人の意図が曖昧なまま終わるのはちょっとモヤッとしました。

ヴェガ人曰く、何十億年もそうしてきたのだそうです。

ますます意味が分かりませんが、僕の中では「宇宙人のやることだから人智を超えているのだろう、だから僕にも分からない」という形で納得することにしました。

宇宙SFではたまにこういうことがあります。(SF小説『ソラリス』など)

いくつかのツッコミどころ

上でちょっと触れたとおり、ストーリー上はツッコまずにはいられない展開もありました。

ぶっちゃけどうでもいいのですが、せっかく印象に残ったので書いておきます。

 

まずは、1つめの輸送装置がテロリストに壊されるシーン。

信仰の深いブロンド男は、ヴェガへの輸送を神への冒涜だと考えていました。

エリーは彼がプラカードを持ったり演説をしたりする姿を何度か目撃しています。

で、どういうわけかブロンド男は技術者として輸送装置の準備に携わり、自爆テロを決行。

これにより輸送装置が大破し、プロジェクトは(見かけ上)振り出しに戻ります。

観た人は間違いなく思ったでしょうが、これはなかなかぶっ飛んだ展開です。僕は「こんなのアリか」と、思わず笑ってしまいました。

ツッコまずにはいられませんが、このテロのおかげで我らが北海道が出てきます。

 

破壊されることになった輸送装置は、実は北海道にこっそりもう一機作ってありました。

辺鄙(へんぴ)な場所とは言え、あんな大きな装置を、関係者を除く世界中の誰からも秘密に出来たというのは不思議です。

まぁこれもご愛嬌ということで。これらのツッコミは不満ではなく、あくまでも小さな感想に過ぎません。全体として面白い映画なので問題なしです。

無神論者の視点から観る

これも上でちょっと触れましたが、ストーリー上でエリーが無神論者であることが問題になります。

誰をヴェガに送り込むか?となったときに、これまでプロジェクトを引っ張ってきたエリーは当然有力な候補です。

しかしこのプロジェクトは地球全体の努力の結晶であり、ヴェガに行くのは全人類の代表でなければなりません。

選抜委員会で、人類の95%は何かの宗教を信仰しているので、無神論者を代表にするわけにはいかないとの決定が下ります。

無神論者としては、「いやいやそんなの関係ないでしょ」とツッコまずにはいられませんでした。

とは思いつつも、世界の大多数からするとそれが普通の感覚なのかな…と思います。

しかし一周回って考えてみると、エリーが選ばれなかったのはストーリー上必要なことだったとも言えます。

なぜなら、あのままエリーが選ばれていればブロンド男のテロでエリーが死んていたからです。

なので選抜委員会のシーンはそこまで真剣に捉えなくてもいいのかなとも思いました。

おわりに

以上、ネタバレを含めた感想や考察も書いてみました。

こうしてみると思うことはたくさんあって、やはり深い映画だなと思います。単なる宇宙SFだったとしたら、ここまであれこれ考えることはなかったでしょう。

おすすめの映画です。

 

途中で紹介した映画↓

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