【映画レビュー:ファイトクラブ】現代人の内面をえぐりだす超傑作

今回は、映画『ファイトクラブ』の感想レビューです。

本作は僕にとっては完璧とも言える作品。おすすめ度は文句なしの満点です。

前半のレビューはネタバレを含まないので、観る前の参考にしていただけます。

後半はネタバレありなので、映画を観る前は読まないでください。

映画情報
  • おすすめ度:10/10
  • 原題:『Fight Club』
  • 主演: エドワード・ノートン
  • 監督: デヴィッド・フィンチャー
  • ジャンル:サスペンス
  • 公開:1999年
  • 長さ:139分(2時間19分)

あらすじ

主人公の男は、リコール調査を行うサラリーマン。

つまらない日常に飽き飽きしながら、高級家具やブランド品を買い込んでいました。

ある日彼の部屋が爆発する事件が発生。

帰る場所がなくなった主人公は、さっき出会ったばかりの石けん業者タイラーに連絡します。

タイラーが住んでいたのは取り壊し予定の廃屋でした。

高級家具で溢れた部屋とは正反対の場所で、2人は一緒に暮らし始めます。

総評

本作『ファイトクラブ』は僕にとって最も好きな映画の1つです。

ストーリーの面白さ、映画の中で描かれるメッセージの両面で、これほど心打たれた映画はありません。

ジャンルの好みに関係なく、死ぬまでに一度は観てほしい作品です。全力でおすすめします。

良かったところ

まずは、ネタバレにならない範囲で本作の良かったところを書いていきます。

どんでん返しと巧みなトリック

本作はストーリーのどんでん返しが面白く、エンターテイメントとしても素晴らしいです。

ただ単に予想がつかない展開というだけでなく、トリックの使い方も非常に上手いと思いました。

ネタバレを避けるためにも、ここではこれ以上書きません。

仮に本作の魅力がどんでん返しだけだったとしても、傑作と呼べるレベルになっていたでしょう。

ネタバレで面白さが損なうタイプの作品なので、観る前にレビューはあまり読まない方がいいと思います。

映画の中で描かれるメッセージ

上に書いたように、ファイトクラブはトリック面だけ見ても面白い映画です。

しかし、本作はそれだけで終わりません。

もう1つ、物語の中で描かれるメッセージが個人的にはツボでした。

メッセージは「これ!」とひとことで言えるものではないのですが、分かりやすいものだと「モノ中心の価値観の否定」があると思います。

他には「生きている実感がない日常の否定」も大きなテーマです。

これらのメッセージに共感できるかどうかで、本作への評価は大きく分かれると思います。

僕は非常に共感できたので、この映画が特別面白いと思いました。

 

破天荒な人物タイラーと出会う前、主人公は高級家具やブランド品で心を満たしていました。

一方で仕事に追われる毎日は退屈そのもの。

主人公はリコール調査の仕事にやりがいを全く感じておらず、生きている実感もありませんでした。

生きている実感がない日常の中で、こころの隙間をモノで満たす。

ファイトクラブでは現代人のそんな内面をえぐり出しているように思います。

これは僕自身ぴしゃりと当てはまるものがありました。

多かれ少なかれ日常に閉塞感(へいそくかん)を感じている方なら、本作から得られるものがあると思います。

一方で、作品が投げかけるテーマに共鳴できない場合は面白さが半減するかもしれません。

2つの面白さを両立した作品

このように、ファイトクラブには巧みなどんでん返しと、強く共感できるメッセージの2つがありました。

この2つを高いレベルで両立したからこそ、本作は僕にとって特別な作品になったと思います。

トリックが上手い映画自体は少なくありません。

ただ本作のように強烈なメッセージも併せ持つ作品というと、ほとんどない印象です。

もちろんそういう映画が浅いと言っているのではありません。

ここで言いたいのは、ファイトクラブが僕にとって凄すぎた、ということです。

良くなかったところ

反対に不満な点はというと、正直1つも浮かびません。

しいて言えば、タイトルやジャケットからはこんなに面白い映画だと思えなかったということでしょうか。

前々から傑作だと聞いていたものの、『ファイトクラブ』というタイトルからどうしても面白い内容を予想できず、観る気が起きませんでした。

原題も『Fight Club』なので、邦題が悪いわけではありません。

「殴り合いでもするの?」と予想して、アクション映画かと思っていました。

まぁ確かに殴り合いはします。

でも、それだけじゃないですし、殴り合いにも深い意味があるんです。

もっと早く観ていれば良かったと思いました。

ネタバレなしのまとめ

以上、ネタバレを含まない範囲の感想レビューでした。

まとめると、どんでん返しを食らわすストーリーの面白さと、現代人なら共感せずにいられないメッセージを両立した映画です。

ミステリーが好きな方はストーリーだけでも十分に楽しめます。

さらに、メッセージに共感できるならもっと心打たれるはずです。

どうか死ぬまでに一度は、必ず観てください。おすすめです。

ネタバレありの感想・考察

注意

以下の感想・考察はネタバレを含みます。

まだ観ていない方は読まないでください。

巧みなどんでん返しと伏線

上に書いたとおり、本作のどんでん返しの作り込みは非常に上手いと思いました。

以下、僕なりの理解をまとめたいと思います。

 

ネタバレすると、タイラーは主人公ぼく(英語ではI)が作り出したもう一人の人格でした。

つまり、主人公とタイラーとのやり取りは全て一人芝居だったのでした。

主人公(僕)とタイラーが同時に出てきて会話することもあるので、精神疾患としての多重人格とはやや違います。

主人公の名前が一向に出てこないのが全体に渡って巧妙な伏線になっています。

序盤で睾丸ガンの会などに参加する際に、ルパートやコーネリアスといった偽名は出てきます。しかし、「僕」の名前は実は一度も出てきていません。

本来であれば、これは視聴者にとって違和感になっていたでしょう。

しかし本作は主人公の一人語りで進むこともあって、大きな違和感にならずに済んでいます。

普通の映画は登場人物たちを第三者の視点から見ることになります。

一方ファイトクラブでは一人語りをする主人公と一緒に、主人公の認識を共有します。

最初は映画にのめり込みやすくするための工夫かなと思ったのですが、実はそれ以上の意味があったわけです。

 

主人公とタイラーは同一人物なので、当然ながらタイラーの行動は全て、主人公の行動でした。

作中でタイラーは次のような行動をしていました。

  • 夜の間、映画技師やウェイターとして働く
  • ファイトクラブを指揮する
  • 仲間を集めて、メイヘム計画の準備をする

もちろんこれも主人公がやっていたことです。

また、主人公の部屋を爆破したのもいわば自作自演でした。

もちろん主人公に記憶はありませんが、タイラーの人格が出ていたときにお手製の爆弾でふっ飛ばしたのでしょう。

ファイトクラブとオウム真理教

タイラーはさらに仲間を集めて集団生活を始め、街中を爆弾で吹き飛ばすメイヘム計画の準備をします。

これを見て僕は、日本人としてオウム真理教を思い出しました。

圧倒的なカリスマ性で仲間を募り指揮するタイラーは、麻原彰晃と重なるものがあります。

社会から爪弾きにされた若者、コミュニティでの生活、という点も同様。

地下鉄サリン事件が1995年で、ファイトクラブの公開が1999年です。

なのでリアルタイムでファイトクラブを観て「え、これオウムじゃない?」と衝撃を受けた方もいたでしょう。

ちなみに僕は1992年生まれなので、当然リアルタイムでは知りません。

おわり

以上、映画『ファイトクラブ』の感想レビューでした。

もう一度まとめると、まずストーリー面だけでも十分面白いです。

一人語りを使ったトリックが巧みで、最後にどんでん返しを喰らいました。

また本作が持つ社会的なメッセージは、現代人にとって多かれ少なかれ共鳴せざるを得ないものだと思います。