【映画レビュー:セブン】7つの大罪に沿った連続殺人…ミステリというより文学的な作品

今回は、映画『セブン』の感想レビューです。

ミステリかと思いきや、文学小説のような雰囲気の映画でした。

前半はネタバレ無しのレビューなので、観る前の参考にしていただけます。

後半はネタバレを含むので、まだ観ていない方は読まないでください。

映画情報
  • おすすめ度:6/10
  • 原題:『Se7en』
  • 主演:ブラッド・ピット、モーガン・フリーマン
  • 監督: デヴィッド・フィンチャー
  • ジャンル:サスペンス
  • 公開:1995年
  • 長さ:127分(2時間7分)

あらすじ

サマセットとミルズの2人の刑事はある猟奇的殺人の捜査を担当することになります。

犠牲者の肥満男性は手足を縛られ、モノを無理やり食べさられていました。

サマセットは冷蔵庫の裏に「GLUTTONY(暴食)」の文字を発見。

翌日別な事件で見つかった死体の近くには、「GREED(強欲)」の文字が見つかりました。

このことから、これらは7つの大罪に沿った連続殺人ではないかとサマセットは推理します。

ジャンルについて

本作『セブン』はサスペンス映画に分類されます。

連続殺人の犯人を追う警官2人、というなじみ深い設定です。

作中にはグロテスクな表現があるので、苦手な方はご注意ください。

面白かったところ

『セブン』の一番の魅力は、作品全体から浮かび上がる人生についてのメッセージだと思いました。

メッセージの内容や考察については、記事後半のネタバレありの部分で書くことにします。

例えば、『セブン』の面白さは、夏目漱石や太宰治の小説の面白さと非常に近いと感じます。

つまり、本作は文学を映画で表現した作品といっても過言ではありません。

 

まず、本作は次のような映画ではないと思います。

  • 巧みなミステリを楽しむ映画(『ユージュアル・サスペクツ』など)
  • グロテスク・スプラッター表現でスリルを味わう映画(『SAW』シリーズなど)

そこを求めて『セブン』を観てしまうと、かなり肩透かしを食らうと思います。

 

正直言って、ストーリーは普通です。「全ての謎が明らかになる衝撃のラスト」はありませんでした。

確かに「印象的なラスト」ではありました。ただそれは、ミステリとしての面白さとは無関係です。

伏線回収もありませんし、煮え切らないで終わる部分もあります。

また、グロテスクなシーンを観てゾクゾクするのも、メインの魅力ではないと思います。

 

少なくとも「どんでん返し」「伏線回収」系でないことは確かです。

映画と好みのミスマッチを避けるために、観る前にこの点を知っておくのをおすすめします。

良くなかったところ

上にも書いたとおり、ストーリー自体は良くはなかったというのが正直な感想です。

ただ先に書いとくと、そもそも『セブン』はプロットを売りにするつもりがない映画だと思います。その点については、『タクシードライバー』が近いです。

個人的に一番気になったのは、犯人の動機がよく分からずに終わったことでした。

結局彼はただのサイコパスでしかなかったのでしょうか。それだと深みが物足りないなと思いました。

 

『セブン』を観ることにしたのは、本作がミステリ映画のおすすめとして紹介されているのをよく見かけたからです。

僕はプロット(ストーリーの筋)を求めるタイプです。『ユージュアル・サスペクツ』が大好物と言えば分かりやすいでしょう。

なので僕にはミスマッチ感はありました。

ネタバレ無しの総評

以上がネタバレ無しのレビューです。

重要な点を繰り返すと、本作は「どんでん返し」系の作品ではないと認識しておくのをおすすめします。

もっと抽象的な部分を楽しく感じられる方なら観て損はないと思います。

ネタバレ有りの感想・考察

注意
以下の感想・考察はネタバレを含みます。ご注意ください。

ラストのセリフが全て

上に書いたように、この映画の一番の魅力は作品全体から浮かび上がる人生についてのメッセージだと感じました。

それは最後のサマセットのセリフに全て込められていると思います。そのセリフは以下。

ヘミングウェイが書いてた

「この世はすばらしい 戦う価値がある」

後の部分は賛成だ

言い換えると、「この世はすばらしくはないが、戦う価値がある」となります。

 

「この世はすばらしくはない」という意味のセリフはたびたび出てきます。

例えば、サマセットがトレーシー(ミルズの妻)に相談を受けるシーン。

トレーシーは妊娠したが、ミルズにはまだ言っていないし、言えないといいます。

そこでサマセットは、自分の子供の話をしました。

正確なセリフではないのですが、「自分の子を妻が妊娠したときは怖かった。子供をこんな世界に生むなんて…」という内容です。

結局サマセットは子供を中絶させました。もちろん、サマセットの思いは複雑です。その後も葛藤は感じ続けています。

 

ここは本作の重要なメッセージの1つだと思いました。

つまり、「この世はすばらしくはない」ということ。

これを下支えするように、『セブン』は常に暗く冷たい雰囲気が流れています。激しく降り続き車のフロントガラスを打つ雨は特に印象的です。

映画のラストシーンも救いがなく、バッドエンドそのものでした。

 

ただ、メッセージはそれで終わりません。

サマセットはヘミングウェイの「この世は素晴らしい」には同意しませんが、「戦う価値がある」には賛成します。

『セブン』のすべてのシーンは、「この世はすばらしくはないが、戦う価値がある」を表現するためにあるのだと思います。

ラストのセリフが核で、他は全て肉付け、という感じです。

もちろんこれはあくまで僕の解釈で、捉え方は人によって違うと思います。

おわり

以上、映画『セブン』の感想レビューでした。

再びまとめると、当初の予想に反してミステリ(謎解き)色はほぼ皆無の映画でした。

実際は文学のような内容です。猟奇殺人や7つの大罪といったテーマはあくまで肉付けだと思います。