【映画レビュー:仮面の真実】中世を舞台にしたミステリー映画。殺人事件の真相を演劇を通じて暴く

今回は、映画『仮面の真実』の感想レビューです。

後半はネタバレがあるのでご注意ください。

中世ヨーロッパを舞台にした、非常に渋いミステリー映画でした。

映画情報
  • おすすめ度:7/10
  • 原題:『The Reckoning』
  • 主演:ポール・ベタニー
  • 監督:ポール・マクギガン
  • ジャンル:サスペンス
  • 公開:2004年
  • 長さ:111分(1時間51分)

あらすじ

ニコラスは村で神父を務める青年。しかしある日、他人の妻に手を出したのがきっかけで村から逃げ出します。

道中で旅回りの劇団に会い、行くあてもない彼は仲間に入れてもらうことに。

城下町にたどり着くと、少年殺害の容疑で女がちょうど死刑宣告されたところでした。

この事件を題材に演劇を行ったところ、事件のおかしな点が浮き彫りになっていきます。

女は潔白なのか。もしそうなら真犯人は誰なのか。

真相を知るべくニコラスは奔走しますが、彼自身も問題に巻き込まれていきます。

ジャンルについて

本作『仮面の真実』のジャンルは完全にサスペンス/ミステリーです。

舞台は中世ヨーロッパ。

海外のミステリ小説をそのまま映画にした感じだと思っていただければ、間違いありません。

面白かったところ

本作の一番印象的だったところは、中世の暗く冷たい雰囲気です。

直前にも書いたとおり、まるで海外のミステリ小説を読んでいる感覚でした。

中世なのでケータイのようなハイテク機器は全く出てきません。

僕はサスペンス映画をよく観るのですが、舞台はだいたい現代です。たぶん中世のミステリ映画なんて初めてだと思います。

普段観ている映画とは違う部分が多く、新鮮でした。

 

ストーリーはハッキリとした勧善懲悪

あらすじのとおり、本作は城下町で起きた殺人事件の真犯人を突き止める話です。

悪は野放しにされず、最後にはきちんと裁きが下る…。この点では後味は非常に良かったと思います。

主人公ニコラスは縁もゆかりもない女性を冤罪から救おうとします。冷静に考えると、自分の身を危険にさらしてまでそうするのは合理的とは言えません。

でも、理屈抜きでそうしなければならない、そうするのが当たり前だ、と言わんばかりに奔走するニコラスの姿は観ていて気持ちのいいものがありました。

気になったところ

本作はかなり人を選ぶ作品だと思いました。

独特な雰囲気が楽しい一方で、どうしてもストーリーや絵面が地味になってしまうのも事実です。

本作の謎解きは、まぁ普通です。とはいえ舞台が中世かつ現実的なので、大きなひねりのある展開が作れないのは仕方ないと思います。

本作はプロットよりも雰囲気を楽しむ側面が強い作品かなと思いました。

劇団の仲間愛、現代とはまるで違う民衆の生活の様子、悪役のゲスっぷり、といった一つひとつの要素の方が魅力です。

なので(舞台が現代でも)割と古めの映画も楽しめる方は問題ないと思います。

ただ、モダンでエンタメ色の強い作品を求めている方は、本作は避けた方が無難です。

ジャンルは違いますが、『タクシードライバー』を観て何が楽しいのか分からなかった、という方は本作も向いてはいないと思います。

 

細かいことですが、本作は画質が荒いです。僕はHuluで視聴したのですが、画質が「中」までしか選べませんでした。

これはVODの問題はなく、単純に映画がそういう仕様なのでしょう。超美麗画質で映画を観たいという方には本作は向かないと思います。

この画質レベルは悪いことではありません。むしろある程度荒いことで中世の時代を感じさせるのに役立っています。

もし本作を4K画質で観たら、特有の冷たい空気感は表現できなかったでしょう。

また、この映画は吹き替えがなく、字幕オンリーになります。

ネタバレありの感想・考察

注意
以下の感想・考察はネタバレを含みます。ご注意ください。

僕が理解した限りのストーリーをまとめてみます。

町で起きた殺人事件の犯人はやはり女性(マーサ)ではありませんでした。彼女はハメられただけです。

真犯人は、あろうことかその町の領主ギースでした。ギースは幼い子供(男の子?)に性的虐待をした末に殺すのが好きで、町から子供をさらっては犯行に及んでいたのです。

マーサの事件より前にも、町から子供が3人いなくなっています。

ギースは犯行を隠すために、町の誰かに罪を着せることにします。今回の事件では、マーサがそのターゲットでした。

ニコラス含む劇団一行はマーサ処刑を食い止め、演劇によって真相を表現。マーサは冤罪で、真犯人は領主ギースだと民衆に知らしめます。

それを観た大衆は暴動を起こして、最終的にギースを撲殺。

同時に、ニコラスはギースに刺された傷がもとで命を落としてしまいます。

 

以上が、僕が理解したおおまかなプロットです。

上にも書いたとおり、勧善懲悪のもとギースに裁きが下ったのはスッキリ。

ニコラスも死んでしまう結末は一見後味が悪いように思いますが、これもまた裁きだったのかなと思います。

というのも、物語の終盤にてニコラスも人を殺していたことが明らかになります。

もともと彼は他人の妻に手を出して村を出たと言っていたのですが、実はその時夫を殺してもいました。

つまりニコラス自身もまた罪人であり、ニコラスの死によってそれも回収された…のだと思います。

 

終盤のニコラスとギースの掛け合いは見ごたえがありました。

ギースはあらすじに登場しない人物なのでここに書くことにします。

ギースの悪役っぷりは圧巻。これが児童虐待を平然とやってのける領主か…!と身震いしました。

このときの2人会話の内容はキリスト教の教義に基づいていると思われます。キリスト教に詳しければ内容がもっと理解できたかもしれません。

おわり

以上、映画『仮面の真実』の感想レビューでした。

僕が観てきた映画の中では好みが分かれる作品だと思いました。とても渋い作品です。

中世の雰囲気を味わいつつ古風なミステリーを味わうならアリ、エンタメ色を少しでも求めるならナシかなぁと思います。