【映画レビュー:ユージュアル・サスペクツ】回想シーンを巧妙に使ったミステリの最高峰

今回は、映画『ユージュアル・サスペクツ』の感想レビューです。

回想シーンを巧みに使ったサスペンス映画。レビューを読むのは最小限にして、とりあえず観てほしい作品です。

前半はネタバレなしの感想ですが、後半はネタバレありになっています。ご注意ください。

映画情報
  • おすすめ度:10/10
  • 原題:『Usual Suspects』
  • 主演:ガブリエル・バーン
  • 監督: ブライアン・シンガー
  • ジャンル:サスペンス
  • 公開:2005年
  • 長さ:107分(1時間47分)

あらすじ

昨晩、麻薬密輸組織のものと思われる船が港で炎上。

生存者であるヴァーバル・キントは捜査官デヴィット・クイヤンに取り調べを受けることになります。

キントの話によると、事の発端は5人の前科者が集められたことでした。目的は銃盗難事件の面通し(※)です。

その後5人は団結し、宝石強盗を実行。

キントの供述はさらに続き、炎上事件に至るまでの謎が明らかになっていきます。

「面通し」について

面通しとは、事件関係者に容疑者の顔を見せて犯人かどうか確かめることです。

序盤、定規のように高さが書かれている壁の前に5人が立たされるシーンがあります。面通しはそれのことです。

映画タイトルの意味

タイトル『ユージュアル・サスペクツ』は、「常連の容疑者」という意味です。

面通しのために集められた5人は前科持ちで、「いつも犯罪者として名前が上がる連中」でした。

ジャンルについて

本作『ユージュアル・サスペクツ』のジャンルは完全にサスペンス/ミステリーです。

SFのような非現実的な要素はありません。

謎解きをメインにした映画を好む方なら、本作とのミスマッチはないと思います。

面白かったところ

本作『ユージュアル・サスペクツ』の一番の面白さは、回想シーンを上手く使った謎解きです。

この映画のシーンには、大きく次の2つに分けられます。

  1. 現在:船が炎上した後の取り調べ
  2. 回想:ヴァーバル・キントが語る、炎上までの経緯

この2つが交互に描かれて、物語は進んでいきます。

 

最初にも書いたとおり、本作はレビューで予習せずに観てほしい作品です。

何を言ってもネタバレに繋がりかねないので…。

サスペンス/ミステリのジャンルが好きな方であれば、観て絶対に損はしない作品だと思います。

どれくらい面白いかだけ言うと、伏線回収系の作品としては個人的に最高峰の部類です。

伏線の数は多く、巧妙です。後から考察できるポイントもたくさんあります。

気になったところ

本作は満足度が非常に高い映画ですが、気になった点が1つ。それは、終盤まではかなり退屈だということです。

シーンの大部分はキントによる回想なのですが、その内容自体は全く面白いものではありません。

つまり本作は、最後まで観てようやく面白さが分かるタイプの作品なのです。

正直言うと、終盤に入るまであまりにも盛り上がりがないので僕は途中で見るのをやめようかと思ったほどです。

しかし、面白い映画だと聞いていたので観続けることにしました。すると、最後に全てのシーンの意味が分かって満足…という具体です。

最終的に面白いことは保証するので、終盤まで頑張って観るのをおすすめします。

ネタバレありの感想・考察

注意

以下の感想・考察はネタバレを含みます。ご注意ください。

既に観た方でないと何を言ってるか分からないと思います。

カイザー・ソゼの正体

物語の最大の謎は、カイザー・ソゼの正体です。

キントから話を聞いた捜査官クイヤンは、カイザー=キートンだと推理します。

それはそれで成り立ちそうなので、そこまで観た僕は「なるほどそうだったんだぁ」と思いました。

ところが、この映画はそこで終わらない。

キントが退出した後、クイヤンは妙なことに気づきます。キントの話に出てきた固有名詞(レッドフット、コバヤシなど)が、壁に貼り付けてあった書類などに見つかったのです。

そこでクイヤンは、キントの話がその場で作ったでたらめだったと気づきます。

つまり、カイザー=キートン説で終わるかと思いきや、カイザー=キント説が浮上するのです。

それに気づいた頃には、キントは既に姿をくらましていました。

 

確かにキントは、部屋に入った直後に壁をキョロキョロ見回しています。

最初これは、キントの挙動不審によるものかと思っていました。しかし、違うんですね。

ここで目についた固有名詞を使い、噓のストーリーをでっち上げます。

 

しかし、本当にカイザー=キントなのでしょうか。

というのも、最終的に船の生存者の証言でキントの顔が明らかになってしまいます。

5人の面通しはカイザーの計画であり、その目的はカイザーの顔を知る密告者を殺すことでした。

なのに結局はカイザーの似顔絵としてキントの顔がハッキリ書かれてしまいます。

カイザーはそんなミスを犯すでしょうか?

ここで浮かぶのは、カイザーはキントではなく登場してすらいないのでは、という仮説です。

もちろん、船でキートンらを殺したのはキント。しかしキントもコバヤシ同様、カイザーの手先に過ぎないのかもしれません。

こんな考察が出来るのも、本作の面白いポイントです。

 

日本人に見えないコバヤシ

カイザーの代理人として、コバヤシという日本人が登場します。

彼はどうにも日本人に見えないので違和感がありました。

しかし、もしかするとその違和感さえも仕組まれたものかもしれません。

というのも、キントの回想に出てきた固有名詞はでたらめだからです。

キントが警察署を立ち去った後もコバヤシが登場するので、彼は存在はします。しかし、コバヤシという名前ではないのでしょう。

 

どこまでが本当だったのか

既に書いたとおり、キントの話はほとんどでっち上げでした。

ここで、「どこまでが本当で、どこからが噓なんだろう?」と思いました。

これについて、僕の理解を書きます。

 

まず、この映画で描かれる事件はカイザーが計画したものでした。

その目的は、カイザーの顔を知る密売人(船に乗って怯えてた男)を殺すこと。

5人が面通しで集められたのも、カイザーの仕業でした。彼らを使って密売人を消すという計画です。

5人中キントを除く4人が死に、船が炎上したのも現実です。

 

本当かどうか分からないのは、面通し~船の事件の間です。

これは全てキントの口から語られた話に過ぎません。しかも、固有名詞はその場で付けたものでした。

僕の推測では、回想のほとんども嘘だったのでは、と思います。

つまり、

  • 5人の面通しは本当
  • 船で4人が死んだのも本当
  • でも、その間は丸々でたらめ

なのではないでしょうか。

キントは間違いなく超人的な頭脳を持った策士です。

そのため、クイヤンを騙すほどそれっぽい話をその場で作れたのだと思います。

 

港の資材でだまされる

冒頭のキートンが殺されるシーンにて、港の資材(ロープや木材)がアップで映る謎のシーンがあります。

最初は印象に残るものの、意味は分からず。

しかし、キントの回想でその資材の意味が分かります。

キントの話によると、カイザーがキートンを殺す様子を、彼は資材の裏側から見ていたというのです。

その部分の回想によって、資材のシーンの意味に気づきます。

 

しかし、それもやっぱり違う。

キントが資材の裏から見ていたというのも、彼が即興で作った嘘だったのです。

つまり視聴者は、資材のシーンに納得したかと思いきや、すぐに騙されていたことに気づきます。

こういうふうに、ひとひねりで終わらないのがこの映画のすごいところです。

気づけていない伏線

本作はとにかく伏線が多いです。

キントは左半身が不自由なのですが、実はそれは演技でした。これに関係する伏線は特に多いです。

正直僕が気づけていない伏線はまだたくさんあると思います。

おわり

以上、映画『ユージュアル・サスペクツ』の感想レビューでした。

本作は、「伏線回収系」「だまされた系」の映画の中ではトップレベルだと思います。

1995年の映画なので映像は荒いですが、侮ることなかれ。

中身は非常に作り込まれた作品です。サスペンス映画好きは自信を持っておすすめします。