【映画レビュー:ソード・フィッシュ】天才ハッカーが挑む銀行強奪劇

今回は、映画『ソード・フィッシュ』の感想レビューです。

ハッキングを中心とするクライム要素と、思い込みを利用したトリックが映える作品でした。

非常にコンパクトにまとまっているので、ダレずにサクサク観られます。

前半はネタバレ無しのレビューなので、観る前の参考にしていただけます。

後半はネタバレ有りの感想・考察なので、まだ観ていない方はご注意ください。

映画情報
  • おすすめ度:7/10
  • 原題:『Swordfish』
  • 主演:ジョン・トラボルタ
  • ジャンル:サスペンス
  • 公開:2001年
  • 長さ:99分(1時間39分)

あらすじ

スタンリーは、かつて数々のサイバー犯罪を起こしてきた天才ハッカー。

今はPCに触ることも禁じられ、先の見えない仕事をこなしていました。

さらには離婚した妻との間にいる娘ホリーとも、裁判所の命令で会えない始末。

そんなある日、スタンリーのもとにジンジャーと名乗る女性が現れ、仕事をもちかけます。

彼女の案内した先で待っていたのは冷徹な男ガブリエル。

こうしてスタンリーは彼の大きな計画に巻き込まれていくのでした。

ネタバレなしの感想

本作『ソード・フィッシュ』には色々と見どころがあるのですが、メインとしてはハッカーものです。

ヒュー・ジャックマン演じるスタンリーが天才的なハッキングで活躍するさまは理系心をくすぐるものがありました。

もう1つの大きなテーマは、「思い込み」。

ガブリエルが仕掛けるトリックがストーリーの起伏を作っています。

正直言うと、本作のハッキングやトリックは見どころではあるのですが、そこまで大掛かりではありません。

しかし、およそ100分という短い時間に無駄なく描かれているので非常にテンポがよく感じました。

ボリューム不足という感じは全くなく、上手い具合にまとまっていると思います。

たまにカルピスの原液を必要以上に薄めた感のある長い映画がありますが、本作はそういう映画とは真逆です。

 

登場人物の点では、ジョン・トラボルタ演じるガブリエルが良い味を出しています。

めちゃくちゃ怪しくてグレーに近いブラックなこともやっている人間なんだけど、それでもどこか頼りがいがある。

そして信念も強い。詳しくはネタバレありの後半で書きますが、彼の持つ正義の哲学は考えさせられるものがあります。

悪く言えば超気取っているキャラクターなのですが、僕はどちらかというと魅力的に感じました。

 

以上をまとめると、本作はコンパクトなクライム映画としておすすめです。

あまり濃密&大ボリュームな内容を期待すると肩透かしを食らうかと思いますが、100分でサクッと観る分には良作だと思います。

ネタバレありの感想・考察

注意

以下の感想・考察はネタバレを含みます。ご注意ください。

既に観た方向けの内容です。

ガブリエルの「思い込み」トリック

本作のストーリー上の「アッと驚く展開」と言えば、ヘリが爆破するシーンかと思います。

答え合わせ的に僕が理解した内容を書いてみます。

 

結論としては、ラストシーンのとおりガブリエルもジンジャーも生きていたというわけです。

まず伏線となるのは、ガブリエル邸でスタンリーが見つけた「死体のようなもの」。

スタンリーがワインを探していたところ、ガブリエルそっくりの死体を見つけます。その時点ではその物体の意味は不明。

終盤、ガブリエルはビルの屋上でヘリに乗って逃げようとします。

しかしスタンリーはテロリストまがいの彼をどうしても許せず、ロケットランチャーをぶっ放してヘリを撃墜。

後にガブリエルの死体が見つかり、歯型も一致したので彼は死んだかに思われます。

ところが、ここでスタンリーはガブリエル邸で見つけた「死体のようなもの」を思い出します。

そして、なるほどこの死体はダミーで、ガブリエルはまだどこかで生きていると気づく…という展開でした。

 

「思い込み」を利用したトリックについては、作中のあちこちでガブリエルが口にしています。

例えば、観客の前でゾウを一瞬で消した男の話なんかがそうです。

これがある種の伏線となって、ストーリーの一番の盛り上がりの準備になっています。

突っ込みどころとしては、天才ハッカーがいきなりロケランを使いこなしてヘリに命中させるのは、ちょっと笑ってしまいました。

たぶんスタンリーは戦闘とは無縁だと思うのですが、使ったこともない銃器をいきなり組み立てて使いこなせるものでしょうか。

まぁここはフィクションということで。

よく分からなかったところ

ガブリエルだけでなくジンジャーも実は生きてます。

そもそも彼女はDEA(麻薬取締局)の人間ではなく、本当にガブリエルの仲間でした。

でもスタンリーの前で彼女まで死んだことにする意味はあったのでしょうか。個人的にはここがちょっと謎な部分。

ジンジャーがガブリエルに撃たれたとき、たぶん防弾チョッキか何かを着ていたのでしょう。

にしても、スタンリーにはあくまでジンジャー=DEAと思わせておく理由とは何なのか。

僕なりの落とし所としては、ジンジャーの存在も徹底的に消しておきたかったんでしょう。

なんでかというと、ジンジャーはガブリエルの右腕だからです。

だからスタンリーのことも騙して、わざわざ彼の前で殺したことにしておく…ということなんじゃないかなと思います。

 

もう一つ大きな曖昧ポイントは、前半に出てくるトーバルズというハッカー。
(たぶんフィンランド人)

そもそも彼が本作のストーリーにどう関係しているのか。どうして、そして誰に殺されたのか。ここが僕にはよく分かりませんでした。

一応の理解としては、たぶん彼の存在意義はほとんどないんだと思います。

FBIがトーバルズのことを調べるうちにたまたま(?)スタンリーを見つけるので、その展開のために必要だったのでしょう。

印象的なセリフ

個人的に印象に残ったセリフが、

「1人の子供を殺して疫病を世界中からなくせたら、殺すか?」

みたいなセリフです。

これはガブリエルの活動をよく表している一方で、メッセージ性も強いと思いました。

ガブリエルはテロリストを撲滅すると言いつつ、自分も半分テロリストみたいなものです。

これを正当化する理屈として、要は「大きな目的のためなら小さな犠牲は仕方ない」と彼は語ります。

この理屈は正しいのかどうか。

もちろん正解なんてない問いですが、映画を観る人にとっては考えさせられるテーマです。

僕としては、ガブリエルを全肯定は出来ないとしても、彼は割といいヤツだと思っています。

集めた資金は純粋にテロリスト抹殺のために使っているわけですし、強盗の一件後は実際にテロリストを何人か殺害しているからです。