【映画レビュー:ザ・セル】殺人鬼の精神世界に入り込むサイコSF

今回は、映画『ザ・セル』の感想レビューです。

狂気に満ちた精神世界の映像美が目を引くSF映画でした。

一方、ストーリーは単調なので、映画をアートとして楽しめるかどうかで評価が分かれると思います。

今回のレビューにはネタバレはありません。まだ映画を観ていない方でも、記事の最後まで読んで大丈夫です。

映画情報
  • おすすめ度:4/10
  • 原題:『The Cell』
  • 主演:ジェニファー・ロペス
  • ジャンル:SF
  • 公開:2000年
  • 長さ:107分(1時間47分)

序盤のあらすじ

精神科医キャサリンは、神経伝達装置を使って他人の心の中に入り込む特殊な治療を専門としていました。

あるときFBIが連続殺人犯カールの身柄を確保。

カールは被害者の1人をどこかに閉じ込めているはずですが、本人の意識がないので聞き出せません。

そこでFBIはキャサリンに協力を求めることに。

精神分裂病であるカールの狂気に満ちた精神世界に、キャサリンは入っていきます。

ネタバレなしの感想

本作『ザ・セル』はまず、他人の心の中に入り込むというSF的な設定が目を引きました。

他人の心の中は一種の仮想世界になっているため、その点で言えば『マトリックス』シリーズや『13F』に近いものがあります。

特殊な装置を使い、体に電極を取り付けるのはおなじみのパターン。

SFファンであれば、この段階で興味を持つ人は多いのではないかと思います。

精神科医キャサリンが入り込むのは、重度の精神分裂病(今でいう統合失調症)を持つカールの精神世界。

彼の精神世界は狂気・不気味さ・意味不明さがごちゃまぜになっており、とても印象的でした。

例えるならば、サイレントヒルの世界をさらに支離滅裂にして、芸術的にした感じと言えば近いです。

本作の一番の見所は、その世界観が独特な映像美で表現されているところだと思いました。

映像美と言っても、例えば『マトリックス』のようにCGを駆使した超美麗な映像というわけではありません。

本作では(基本的に)あくまで衣装やセットを作り込むことで独自の世界観を表現しています。

これはもう映画というよりアートです。アートを映画という形を借りて表現しているようなものです。

 

しかし、全体的な感想としては、本作は僕には合いませんでした。

なぜかというと、直前に書いたとおり、この映画はあくまでアートだからです。

本作は狂気の世界を描き出す映像美に重きを置いており、肝心のストーリーは特別面白いということはありません。

序盤のあらすじを読めば最後はどうなるか一目瞭然ですし、途中の展開も特に盛り上がることはありませんでした。

僕が一番映画に求めているのは、他でもなくストーリーそのものの面白さです。

どれだけお金がかかっていても、有名俳優が出ていても、音楽が良くても、ストーリーが面白くないと楽しめない人間なのです。

だからこそ、僕は本作に対してミスマッチが起きてしまったのだと思います。

実際のところ、製作者としてもストーリーを楽しんでほしいという意図はほとんどないと思います。

目を引く仮想世界という点についても、残念ながらそれ自体がSF的に面白いということはありませんでした。どうにも理系心をくすぐるポイントがなかったように思います。

 

まとめると、本作は評価が真っ二つに分かれるタイプの作品だと思います。

僕がそうであったように、あくまでストーリーの面白さやSFとしてのワクワクを求めるのであれば、本作は向きません。

仮想世界をテーマとする映画は下記の記事にまとめているので、興味がある方はぜひご覧ください。有名な『マトリックス』や、知名度こそ高くないものの『13F』などは特におすすめです。

仮想世界・夢の世界がテーマの映画まとめ

一方、映画をアートとして楽しめる人であれば本作はじゅうぶん刺さり得ると思います。

分裂症患者カールの狂気に満ちた精神世界は不気味であるものの、その世界観は見事です。